ゲーティア(ソロモンの小さき鍵)
ゲーティア(ソロモンの小さき鍵)
ゲーティア(ゴエティア、ゴーティア…)(Goetia)はレメゲトン(Lemegeton)の第一の書であり、ソロモン王の小さき鍵(ソロモン王の小さな鍵、ソロモン王の小鍵…)(The Lesser Key of Solomon the King)とも呼ばれます。ゲーティアと言う呼び名よりはこちらの別名の方が有名かも知れません。この別名に冠されているソロモンとはイスラエル王国の栄華を築いたソロモン王の事です。この書はそのソロモン王によって書かれたもの、或は(少なくとも)ソロモン王の書いたものを元にして書かれたものであると言われています。しかし、その真偽の程は不明であり、単なる箔付けとしてソロモン王の名が使われたのではないかとも言われています(こちらの方が正しいようです)。この手の箔付けは古い時代(特に中世)の書物には良くある事ですので…。
ゲーティアはソロモンの72柱の悪魔(ソロモンの七十二柱の精霊)とその召喚(実際には喚起)方法とを書き記した書であり、ソロモンの72柱の悪魔の紹介、それらを召喚(喚起)するために必要な道具、呪文、実際の召喚(喚起)方法についてなどが書かれています。このソロモンの72柱の悪魔とはソロモン王がその栄華を築くために使役したと言われている悪魔達の事です。ソロモン王が多くの悪魔を使役していたと言う伝説は異教の神々を容認していたソロモンらしい話であると思います。
ソロモンの72柱の悪魔
ゲーティア(ソロモンの小さき鍵)で紹介されている悪魔、ソロモン王が使役されたとされる「ソロモンの72柱の悪魔(ソロモンの七十二柱の精霊)」を以下に書き出します。(72柱の「柱」とは神を数える単位であり、ここでは悪魔を数える単位として用いられています。本来、柱は神の象徴であり、そのため神を数える際の単位として用いられていたのですが、ここでのように(それが正しい使い方なのか如何かは分かりませんが)悪魔を数える単位として用いられる事もある様です。神も天使も悪魔も性質の違いを無視して一言で括ってしまえば同じ霊(Spirit)であり、神と悪魔とが区別なく同じ様に数えられていても特に不思議ではないのかも知れません。)
- バエル(Bael)
- アガレス、アグレアス(Agares, Agreas)
- ヴァッサーゴ(Vassago)
- サミジーナ(Samigina)
- マルバス(Marbas)
- ヴァレフォール(Valefor)
- アモン(Amon)
- バルバトス(Barbatos)
- パイモン(Paimon)
- ブエル(Buer)
- グシオン(Gusion)
- シトリー(Sitri)
- ベレス、ビレス、ビレト(Beleth, Bileth, Bilet)
- レラージュ、レラーイェ、レライエ(Leraje, Leraie)
- エリゴス(Eligos)
- ゼパル(Zepar)
- ボティス(Botis)
- バティン(Bathin)
- サロス、サレオス(Sallos, Saleos)
- プルソン(Purson)
- マラクス(Marax)
- イポス(Ipos)
- アイム(Aim)
- ナベリウス(Naberius)
- グラシャラボラス、グラシャ-ラボラス(Glasya-Labolas)
- ブーネ、ビメ、ビム(Bune, Bime, Bim)
- ロノウェ、ロノヴェ(Ronove)
- ベリス(Berith)
- アスタロス、アスタロト(Astaroth)
- フォルネウス(Forneus)
- フォラス(Foras)
- アスモダイ、アシュモダイ、アスモディ(Asmoday, Asmodai)
- ガープ、ガアプ(Gaap)
- フルフル(Furfur)
- マルコシアス(Marchosias)
- ストラス、ストロス(Stolas, Stolos)
- フェネクス、フェニクス、フェニックス(Phenex, Pheynix)
- ハルファス、マルサス(Halphas, Malthus, Malthas)
- マルファス(Malphas)
- ラウム(Raum)
- フォカロル、フォルカロル、フルカロル(Focalor, Forcalor, Furcalor)
- ヴェパール、ベファル(Vepar, Vephar)
- サブノック(Sabnock, Savnok)
- シャックス、シャズ、シャス(Shax, Shaz, Shass)
- ヴィーネ、ヴィネ、ヴィネー(Vine, Vinea)
- ビフロン、ビフロウス(Bifrons, Bifrous, Bifrovs)
- ウヴァル、ヴアル、ヴォヴァル(Uvall, VUAL, VOVAL)
- ハーゲンティ、ハアゲンティ(Haagenti)
- クローセル、クロセル、クローケル、クロケル(Crocell, Crokel)
- フルカス(Furcas)
- バラム、バラーム、バラアム(Balam, Balaam)
- アロセス、アロカス(Alloces, Alocas)
- カミオ、カイム(Camio, Caim)
- ムルムル、ムルムス、ムルムクス(Murmur,Murmus, Murmux)
- オロバス(Orobas)
- グリモリー、ガモリ(Gremory, Gamori)
- オセ、オソ、ヴォソ、ウォソ(Ose, Oso, Voso)
- アミー、アウナス(Amy, Avnas)
- オリアクス、オリアス(Oriax, Orias)
- ヴァプラ、ナフラ(Vapula, Naphula)
- ザガン(Zagan)
- ヴォラク、ヴァラク、ウァラク(Volac,Valak, Valu, Ualac)
- アンドラス(Andras)
- ハウレス、ハウラス、フラウロス(Haures,Hauras, Havres, Flauros)
- アンドレアルフス(Andrealphus)
- キメジェス、キメイエス、キマリス(Cimejes, Cimeies, Kimaris)
- アムドゥシアス、アムドシアス、アムドキアス(Amdusias, Amdukias)
- ベリアル(Belial)
- デカラビア(Decarabia)
- セエレ(Seere, Sear, Seir)
- ダンタリオン(Dantalion)
- アンドロマリウス(Andromalius)
これらがゲーティア(ソロモンの小さき鍵)に紹介されている悪魔達であり、ゲーティアの召喚術(実際には喚起術)による召喚(実際には喚起)、使役の対象となる者達です。中には聞いた事のある悪魔の名前もあるのではないでしょうか。
悪魔の召喚(喚起)方法
ゲーティア(ソロモンの小さき鍵)に書かれている「ソロモンの72柱の悪魔」の召喚方法(実際には喚起)を全て書いて行くととても長くなってしまうので、以下ではその概略のみを紹介します。
先ず、魔法円(円環)と、ソロモンの魔法三角形と呼ばれる三角形とを描きます。次に、悪魔の印行(シジル)、ソロモンの六芒星、ソロモンの五芒星、ソロモンの魔法の指輪を装備して、魔法円の中に入ります。それから幾つかの呪文を唱え続けて悪魔を呼び出します。悪魔を呼び出したらその悪魔に命令を下します。後は悪魔を退去させて作業終了です。召喚作業(実際には喚起作業)の内容は、準備を除き、呼び出し、命令、退去の三部から成ります。
悪魔を召喚(実際には喚起)するためには幾つかの呪文を唱えて行くのですが、これをアレイスター・クロウリー(Aleister Crowley)はエノク語で第一の呪文と第二の呪文とを繰り返し唱えるだけでも効果があるとしています。因みにエノク語の呪文は、版によってはゲーティア(ソロモンの小さき鍵)の巻末に掲載されています。